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ソーシャルマネジメント道場の成果報告会

2018年12月13日 事業レポート

11月23日、山口県にて『ソーシャルマネジメント道場』の最終成果報告会を開催しました。

ソーシャルマネジメント道場は、県内の市民活動支援センターや地域づくり協議会、社会福祉協議会などの中間支援に携わる組織とそのスタッフ向けに7月から全5回にわたり実施したもの。“中間支援組織の生き残りをかけて”と、かなり刺激的なサブタイトルをつけています。そのくらい、現在、全国で活動している中間支援組織はその存在価値が問われているということです。

特に急速に少子高齢化が進む地方では、地域の担い手となるプレイヤーの輩出・育成もさることながら、それらプレイヤーが真に地域課題を解決できる力を身につけ、行政や企業を含む他のプレイヤーと繋がってさらに課題解決のスピードや規模を拡大させるためにも支援者のレベルアップが不可欠です。

道場では、「実態把握」と「事業開発」からなる『社会課題解決の計画書』を策定することを最終ゴールに掲げ、講義とワークを交えながら様々なフレームワークやツールに触れていただきました。

■実態把握

社会課題の解決の前提となる実態とニーズの把握に向けて定性定量の調査・分析を行う

①実態データの収集と分析(市場規模、時系列推移、構成要素など)
②問題構造の全体像分析
③ステークホルダー(利害関係者)分析
④社会環境(PEST)分析

■事業開発

コレクティブ・インパクト志向を掲げ、協働型の事業開発を行う

⑤ビジョンとミッションの策定
⑥受益者(当事者)の絞り込み
⑦事業と成果目標・指標の設定
⑧協働パートナーの選定と役割定義
⑨資金調達計画の策定
⑩組織人員体制の構築
⑪実施スケジュールの策定

11月23日の報告会に向けて、パートナーとなったプレイヤーと支援者は何度も議論を重ねながら計画書を作り上げてきました。この計画書は、団体内部での共有に加え、会員やボランティア、寄付者、さらに行政や企業など様々なステークホルダーに見せることを想定しているため、実用的であることを意識してA3サイズの用紙で1枚以内にまとめることを条件にしています。

ともすると文章と言葉だけで自分たちの想いを滔々と語ってしまう団体が多いですが、そうそうじっくりと話を聞いてもらえる機会というのはありません。限られた時間の中でどこまで簡潔に全体像とポイントを伝えられるかというプレゼンテーション力(資料作りとスピーチ)のノウハウも支援者が身につけるべき不可欠なスキルなのです。

まだまだブラッシュアップしなければならない点はありますが、現時点でできあがった計画書をご覧ください。

 

①ひきこもりの相談から支援につなげるための計画書

認定NPO法人支えてねットワーク

 

②「悲しみに寄り添いともに生きることのできる社会の実現」に向けた計画書

グリーフサポートやまぐち  

③どんな環境に生まれ育っても、こどもが希望を持てる社会をつくるための計画書

こども明日花プロジェクト

 

 ④子ども自ら「学び方」を選べる社会の実現に向けた計画書

Happy Education

 

成果報告会当日は、この資料を元に団体が発表し質疑応答を行いましたが、支援者には最後の難関が待ち構えていました。自分が伴走支援をした団体以外の団体に対してどれだけ鋭い質問(キラー・クエスチョン)を投げかけることができるかを競い合うというものです。質問を受けた団体は最後に、どの支援者からの質問がハッとするような気づきがあったか、さらに深く考えることを促されたかを発表し、『支援者 of the Year』を決定しました。

支援者は相談を受けると、すぐにアイデアを出そうとしたり、教えたがったりしてしまいがちですが、それでは相手が成長する機会を奪うことになります。必要なのはアドバイスではなくフィードバック。事実を確認する問いかけ(when、where、who、when)に加え、解釈や考え、意図を尋ねる問いかけ(what、why)を行うことで相手が考え、意識が変わり、行動に移していきます。こうしたシンプルでパワフルな質問力を持つことも支援者の必須スキルなのです。

当然ですが、こうした“キラー・クエスチョン”をしようと思えば、常日頃からアンテナを張り巡らして情報を収集するとともに、即答できるように思考のフレームワークを持っておかなければなりません。また、そもそも相手の話す内容を全身全霊で聴けていなければ頓珍漢な質問をすることになってしまいます。傾聴力質問力はコミュニケーションの基本中の基本なのです。

4ヶ月という短い期間でしたが、山口県内の中間支援者にとってはこれまで体験したことがないようなチャレンジがあったことと思います。実際に、顔つきや発言内容も最初と比べると顕著に変わったことを実感しています。あとは、支援者が日々の業務の中で実践していくことを願うのみですね。継続は力なり。。。