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地域づくりコーディネーター養成講座「やまぐち草莽塾」を終えて

2020年03月11日 事業レポート

昨年度に続き2年目となる地域づくりコーディネーター養成講座『やまぐち草莽塾』

昨年9月から今年2月までの約半年間にわたり、山口市内の住民の地域づくりへの関心を高めるとともに、地域づくりに必要なコーディネート力を有する人材の養成を目的に、全7回で開催しました。

 

 

講座のカリキュラムは大きく以下の2つのステップに分かれています。

STEP①:ファシリテーションの基本と実践

地域での様々な話し合いの場で必要となるファシリテーションの基本を身につけます。2回の基本講座を踏まえ、3回目では応用編として塾生が特定の地域に出向き、その地域の住民向け会議のファシリテーションを務めます。

STEP②:地域の分析と地域づくり計画の策定

地域の現状分析による実態の把握をはじめ、地域の活性化や課題解決に向けた企画立案等を学びます。少子高齢化が進むなか、本当に地域で必要とされている行事やイベント、事業は何かを整理し直すとともに、個々の事業の目指す成果や目的、指標や具体的な目標値を設定していきます。

 

 

以下では、第1回目から最終第7回目までのプログラム内容を簡単にご紹介いたします。

 


 

■第1回目:ファシリテーションの基本① (9月12日)

初回は昨年8月末に予定されていましたが、台風の影響で急遽中止に。仕切り直して9月12日に無事開講となりました。初回ということで、ファシリテーションの基本を体感と座学で抑えつつ、“場の設計”をテーマにじっくりと学んでいただきました。

地域づくりにおける計画、実行、振り返りなど、あらゆる場面で話し合いや会議など、“対話”の機会が登場します。だからこそ、その場をいかに有意義なものにできるかが地域づくりの根幹に関わってきます。本当のことが言えない、本音で話せない、、、そんな話し合いの場をいくら重ねても意味がありません。一人ひとりがお互いの気持ちを思いやり、尊重することで、話し方も聞き方もガラッとかわってきます。

 

 

■第2回目:ファシリテーションの基本② (10月3日)

初回の場の設計に続いて、場を深める技術としての聴く力問う力から始まり、場をまとめる技術として板書のスキルを中心に学びました。

ファシリテーションの役割や機能を頭で考え続けてもそのエッセンスを身につけるのは難しいため、ワークをつうじて体感的に理解を深めていきました。他者との対話を行うなかで、共感的に話を聴くことの意味を再認識するとともに、場を決める(合意形成)ための対話の内容を可視化することの重要性も確認していただきました。

 

 

■第3回目:地域円卓会議でのファシリテーション実践 (10月17日)

STEP①のファシリテーション編の仕上げです。山口市内の小鯖地区にお邪魔し、未来人口推計データを基にした地域課題と対策アイデア出しのワークショップで塾生がファシリテーターと記録係を務めました。

初めて出会う地域住民の前で、5グループに分かれてファシリテーションを行なうという難易度の高い場でしたが、講座での学びをしっかりと活かしながら、無事に(⁉︎)大役を果たしていただきました。終了後は、相互評価によるフィードバックを行いながら、今後に向けた改善点の確認をしました。

地域活性化や地域交流の促進に向けた場づくりのツールとして、直接的な利害関係のない他地域のファシリテーターが話し合いの場を進行するという手法は、受け入れる側にとってもお邪魔する側にとっても、とても効果的だということも再認識しました。

 

 

■第4回目:地域の現状分析と実態把握 (11月7日)

いよいよ後半戦のSTEP②の始まりです。前半のファシリテーションで学んだことを踏まえ、各協議会の事業計画の見直しを行っていきました。

まずは各地域の計画づくりの方針や進め方、利用データ、工夫や悩みなど、参加地域それぞれの計画づくりの現状を共有しました。隣り合っている地域同士でも初めて知ることばかり。価値あるノウハウが地域内に閉ざされているのは何とも残念なことです。

地域づくり計画策定の前提として(1)地域ビジョン、(2)地域資源の分析(強みと弱み)、(3)社会環境の動向把握、の3つが必要です。これらを整理することで地域づくり計画の骨格が整ってきます。

 

 

■第5回目:地域行事、イベント、事業の評価と整理 (12月12日)

地域づくり計画の見直しに向けて、以下の3つのステップで既存の事業/行事/イベントの整理(断捨離)を行いました。

①事業タイプを整理する
(価値創造[増やす]、課題解決[減らす]、現状維持/予防[維持する])

②地域資本を整理する
(金融資本、物的資本、人的資本、社会関係資本、自然資本)

③実行方法を整理する
(不要なもの、縮小できるもの、効率化できるもの[IT化など]、まとめられるもの、外出しできるもの、そのまま継続するもの)

超少子高齢化が進む中、今後の地域の事業のあり方(やる/やらない含む)を決めるのはまさに死活問題。だからこそ、近視眼的な判断や感情論で進めるのではなく、ステップを細かく刻みながらお互いの認識のズレを確認しつつ視点や視座をあわせていく必要があります。

そして、草莽塾前半で学んだファシリテーションを意識しながら、お互いの考えや想いを聴き合い、合意形成を行っていきました。

 

 

■第6回目:地域づくりの設計図作成 (1月21日)

前回までに、既存の事業/行事/イベントを評価し、断捨離と優先順位づけを行いましたが、今回は個々の事業についてその成果を整理する「地域づくりの設計図」を作成しました。

ともすると、地域の様々な事業・行事、イベントを前年踏襲で回し続けることがゴールになりがちですが、人口減少、高齢化、少子化が進む地方では、その先には疲弊しかありません。

あらためて何のために行うのか、何を目指すのかという「あり方」を明確にし、その上で具体的な「やり方」を考えるという順番で整理し直す必要があります。

 

 

■第7回目: 最終報告会(2月20日)

いよいよ草莽塾の最終報告会です。

今回は、地域づくり協議会(10団体)が策定した「地域づくりの設計図」をグループに分かれて発表&フィードバック。さらに、協議会に期待される役割である多様な主体の協働コーディネーションについてお話をしました。

そして策定した設計図を絵に描いた餅に終わらせず実行に移していけるように、個人としての姿勢(あり方)を確認するためのシステム・コーチング®を実施。最後は、地域ごとに分かれてメンバー同士で日々の組織運営に対する感謝を伝え合い、全7回の講座を終了しました。

 

 

* * *

おわりに・・・

「山口市民は真面目だけど保守的」
「学ぶことは好きだけど、行動につながらない」
「人と違ったことをする人を冷ややかに見がち」

と言われることが多いのですが、全7回の連続講座をつうじて、あらためて山口市で地域づくりに関わる皆さんの高い意欲と能力にふれることができました。関わる側がどのような働きかけをするか次第で相手も変わるもの。たくさんの学びをいただいた第2期でした!