NGOの中期事業計画策定のチームコーチングを終えて
9ヶ月間にわたり伴走してきた、とある国際協力NGOの中期事業計画の策定が完了しました。
歴史も長く、人員体制も予算規模も大きな組織であるほど、これまで大事に培ってきたやり方や、知らぬ間に染み付いた癖のようなもの、そして組織内外の様々なしがらみと向き合わなければなりません。その状態から、未来を構想していくには相当なエネルギーが必要です。
それらの困難を乗り越えて前に進もうとすれば無傷ではすみませんが、そこから逃げずに向き合い、奥深くにあるお互いの想いを紡ぎながら、丁寧に対話を続けていくしかありません。その土台でもあり、先にあるのは、組織として目指すビジョンの実現であり、受益者のより良い未来や笑顔を見たいといった純粋な想いなのだと思います。
世間を見渡すと、気持ちの入っていない、やらされ感満載の、かたちだけの計画やプランづくりが至るところに存在します。作ったものの実行されていなかったり、途中で投げ出されたり、埃を被っていたり、、、これほど無駄で虚しいことはありませんね。また一方で、「私の組織はフラットな関係なんですよ!」とは言うものの、本気・本音・本心を巧妙に隠し、肝心要の部分には踏み込まない表面的な仲良しの人間関係にとどまっている組織も多くみかけます。計画や戦略の具体的な内容やその精度の良し悪しについて、喧々諤々、議論をたたかわせることがなければ社会課題の解決もあり得ません。
コーチとしてはこうした状況を認識しつつ、つかず離れずで伴走しながら要所要所で鋭く突っ込んだり、言いよどむ参加者を促して言いたいことを語らせるような「本気度」を持ち込みながらファシリテーションをしていかなければなりません。チームを”システム”として扱うコーチとして、クライアントの本質的な変化を促すために必要なことなのです。
チームや関係性を”システム”として捉えて関わる『システム・コーチング®』とは?
今回のチームコーチングをつうじた中期事業計画の策定は、計画/戦略策定という「事業開発」と、それを実行に移していくモチベーションや関係性の醸成という「組織開発」の両面を同時にサポートするという大きなチャレンジでしたが、最終回で団体の皆さんの口から出てきた今後に向けての力強いメッセージとやり切った顔つきが何よりの喜びとなりました。「NGOを知る人にファシリテートしてもらってよかった」「長浜さんのお蔭でこの組織は救われました、エンパワーされました」「メンタルな断捨離もできてよかった」といった有り難いお言葉もいただきました。
あらためて、社会課題の解決に挑む組織を支える支援者として、クライアントをエンパワーしつつ、自分もエンパワーされるという協働関係の構築が大事だということを学んだ9ヶ月でした😊