BLOGブログ

『子どもまちづくり塾』がスタート!

2019年03月29日 事業レポート

3月27日、山口県周南市三丘地区で『三丘子どもまちづくり塾』が始まりました。

三丘地区の人口は1,600人で、世帯数は 729世帯。高齢化率は43.31%で、周南市全体の30.8%を大きく上回っています。さらに、三丘小学校の児童数は、最も多かった昭和30年の約10分の1となる45人(平成31年度)と、まさに超少子高齢化が進む典型的な地域といえます。

 

 

こうした状況を踏まえ、“ほっと三丘”コミュニティ協議会では、平成26年、「みつお子どもがずっといるまちプロジェクト」を立ち上げ、行政の支援だけに依存しない、住民主体の地域活性化の取り組みを開始しました。

この度スタートした『三丘子どもまちづくり塾』もこうした狙いのもと実施されるもので、これからの地域の担い手である子どもたちにまちづくりについて学んでもらうという内容です。前提は、子どもは“お客様”ではなく、地域の立派な“主役”であるということ。塾での様々な活動をつうじてリーダーシップを育んでいきます。

子どもに遊び場を提供するのもいいですが、特に過疎化が進む地方では遊び場と学び場を分ける余裕も意味もなく、それらがそのまま地域づくりの場となります。塾長は地域の2人の主婦が務め、会長や地域の地理も歴史を熟知した“達人”がサポートします。

 

 

一般的に子ども向けの事業では、「子どもが元気で笑顔が溢れていればいいじゃないか!」となりがちで、その目的や目指す状況・状態が曖昧なものが多くあります。この塾では、具体的な人物像『スーパーみつこちゃん』を目指す姿(ゴール)として掲げています。子どもに身につけてもらいたい素養として、

三丘の達人度
ひとをリードする力
うんうんとうなずかせる発表力
問だいかいけつ力
チームプレイ力

の5つを設定しており、毎回の塾の中でこれらの確認と振り返りを行いながら自覚を促し、自己認識を高めながら子どもたちのリーダーシップを育んでいきます。

 

 

第1回目の今回は、小学校1年生から5年生までの13人が参加し、3チームに分かれてもらいました。

塾全体のオリエンテーションを行ったあと、特別ゲストとしてお邪魔した私から“ちいきをしる”というテーマでグループワークをさせてもらいました。少子高齢化が進んでいるのは三丘地区だけでなく日本全体も同じ状況にあること、さらに高齢者の割合が増えていくことなどをお話したうえで、こうした状況に向き合いながら地域を支えていくのは他でもない自分たち(子どもたち)であることをお伝えしました。

 

 

それを受け、現在ある三丘地区の歴史、文化、自然、お店、公園、学校、病院など、“ちいきのたからもの”を再確認してもらう「三丘の“しっておこう”マップ」づくりを行いました。自分の普段の生活圏内の“たからもの”はすぐに思い出せますが、圏外のことは以外と知らないもの。まずは個人作業で思いつくものを書き出してもらいましたが、人によって数にバラツキがあります。その差は単に年齢によるものなのか、それ以外の要因があるのかなど、一つの作業から色々なことに思いを巡らせる機会になったのであれば嬉しいです。

小さなテーブルに頭がぶつかりそうになるくらい近づきながら、ワイワイガヤガヤと作業を行いつつ、時折、高学年の子どもたちがリーダーシップを発揮して横道にそれた流れを引き戻します。マジックペンやクーピー、折り紙や毛糸などを使いながら、3チームそれぞれがクリエイティブで個性あるマップを作成してくれました。

この作業を踏まえ、さらに、「三丘のすごい人」「好きな風景・場所」「三丘のなぞ??」「あったらいいな!」をチームごとに議論して発表も行ってもらいました。

 

 

全体で約3時間という短い時間ではありましたが、私自身にとってとても大きな学びと喜びがありました。小学生が相手なので語彙が少なく、読める漢字も学年によりバラツキがあるため、資料づくりにも、話すときにも、普段のセミナーなどでは意識することのない神経を使いました。

2つ目として、こうした連続セミナーでは自分が塾長として携わることが多いのですが、今回は地域の皆さんが塾長となり(しかも女性というのがイイ!)、自分はそれを応援する立場で関われたことがあります。地域づくりはともすると外部の人間に依存してしまい、“センセイ”を招いてあとはお任せとなりがちです。その先には地域の自立も持続性もありません。あくまで内部の人間が主人公でなければなりません。

そして最後が、“ちいきのたからもの”の最たるものである子どもたちと接するなかで、この地域の将来はこの子どもたちに任せていいんだなぁと心から思えたことです。大人を前にしても臆することなく質問や発表をする姿、そして、それぞれがきちんと役割を認識しながらゴールに向けて協力する姿をみることができたのは、思わず笑みがこぼれる瞬間でした。

 

 

三丘子どもまちづくり塾』は、これから月1回くらいのペースで秋頃まで続きます。

次回はスマホのアプリを活用しながらまち歩きを行い、実際に自分が暮らす地域の“たからもの”を確認していきます。ありがたいことに、地域にある高校の生徒さんが子どもたちのサポート役として関わってくれます。それ以降も、他地域への視察や、まちづくりプランの策定とコンテスト、さらにプランの実践へと続いていきます。この先の展開が楽しみですね〜♪

 

<「三丘ゆめ広場」に作られた高さ約4mの巨大な木製の椅子『学びの椅子』>