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地域福祉ワークショップ「地域の中で」

2019年07月22日 事業レポート

鳥取県米子市にて、7月20日(土)、21日(日)の2日間にわたり、地域福祉ワークショップ「地域の中で」を開催しました。

このワークショップは、米子市と米子市社会福祉協議会が共同策定中である「米子市地域福祉計画・地域福祉活動計画」に市民の声をしっかりと反映させ、地域住民主体のまちづくりや住民の生活全般にわたる福祉向上を図ること目的としています。

多世代にわたる住民の皆さまの多様な声を聞かせていただくため、対象(ターゲット)を以下の3つに分類しました。

未成年の部】米子市在住の15歳から20歳未満の方
若者から中間層の部】米子市在住の年齢が20代から50代の方
多世代交流の部】米子市在住の方はどなたでも

未成年の部では、約40名の米子市内の高校生に参加いただきました。将来に向けた教育という意図を込めつつ、本当の意味で地域の未来をつくる担い手の声を聴くことはとても大事なこと。このくらいの年齢で地域の現状に向き合い、未来を考える機会を持つことは、高校生の皆さんのこれからの人生にも大きな意味を持つはずです。見知らぬ者同士で最初は緊張した面持ちでしたが、お互いを知り合うアイスブレーク、米子に関する基本データをクイズ形式で学ぶあたりから会話も弾み、本編である米子の地域福祉課題の共有と対策アイデアの検討・発表にまで進んでもらいました。

事務局側が想像していた以上に意欲も能力も高い学生の皆さんに圧倒され、あっという間に2時間が終了。印象深かったのは、ファシリテーターとして各グループに参加した米子市役所職員と米子市社会福祉協議会職員の皆さんの変わり具合です。普段の仕事ではここまで年齢の離れた人たちと向き合うことが少ないため、最初は緊張気味にコミュニケーションを図っていましたが、すっかり高校生からエンパワーされ、普段見ることがないような笑顔がみられたようです(笑)

第2ラウンドの若者から中間層の部は20代から50代まで幅広い方々にお集まりいただきました。働き盛りということもあり、普段なかなか地域での活動に参加できないのですが、米子の地域福祉課題に対する知識と理解を深めてもらうとともに、地域資源をいかに活用していくかという視点でアイデアをいただきました。さらに、考案されたアイデアを「効果」と「実現性」の2軸に分けて優先順位をつけて整理し、福祉計画にすぐに盛り込むことができるレベルにまでまとめてもらいました。

日本全国どこでも、この世代の地域活動への参加が難しいという実態があります。こうした場に参加してもらうことで、地域の状況に対する理解をさらに深めてもらったり、具体的なアイデアを考えてもらったりすることで地域の問題を自分ごと化してもらい、無理のない範囲で地域活動への参加を促せればありがたいものです。

1日明けて最後の多世代交流の部では、高校生から高齢者まで全ての層の住民にお越しいただきました。子どもが参加するイベントなどでは、ともすると子どもの発表を大人が拍手しながら無条件に見守るだけになったり、大人が上から抑えつけるように一方的に話したりということになりがちですが、今回は全員が1つのテーマについて同じ立場で議論してもらいました。同じ地域に住んでいるということ以外、経験も、知識も、所属も、立場も、置かれた環境も、何もかもが違うため、当然、混乱もありますが、地域のリアルから目を背けずに一緒に議論をするということに意味があるのです。

まずはお互いを知り、協働していくための仕掛けとして、「ペーパータワー」を実施。限られた時間の中で、ペーパー(紙)を高く積み上げたグループが勝ちというシンプルなものですが、意思決定の方法や役割分担など大切な要素が含まれています。その後のワークでは、グループで1つ地域福祉課題を取り上げ、その課題を各世代それぞれの視点で「なぜ?なぜ?」と掘り下げながら課題の真因を明らかにし、解決策を導いていきました。

上述のとおり、今回のワークショップでは、各グループごとに米子市役所職員と米子市社会福祉協議会職員をグループ・ファシリテーターとして配置しました。特に3回目は多世代が一堂に介して議論するという難しい作業に取り組んでもらいましたが、まさにファシリテーターの出番です。少子高齢化社会においては、子どもから大人まで総動員で地域づくりに関わらなければならず、それぞれの立場や主張、願いや不安などをいかに汲み取り、共有し、合意を作っていくスキルが不可欠です。職員の皆さまにとっても、住民の生の声を直接聴くとともに、今後、地域で様々な場でコーディネートを行っていくためのスキルを学ぶ良い機会になったことと思います。

全国的にみると、基礎自治体の「地域福祉計画」と社会福祉協議会の「地域福祉活動計画」が整合性のあるところもあれば、双方が勝手バラバラに策定しているところもあります。米子市では今回、両者を統合したものにするという目的を掲げていますが、実は既に両者は同じオフィスの中で業務を行っており、“協働”をガチンコで実践されています。こうすることで、お互いの考えや立場などが表面的にではなく、深い部分で共有し合えるようになったそうです。素晴らしい!

計画の最終版は来年春に完成予定。ここからどのように作り上げられていくか楽しみですね!