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ファンドレイジング・スクールの『マーケティング』に登壇!

2019年05月14日 事業レポート

 

今年で4年目となる、日本ファンドレイジング協会主催の「ファンドレイジング・スクール。5月10日にアドバンス研修の最初のカリキュラムとなるマーケティングの講師を務めました。

ファンドレイジング・スクールは、単に資金集めをするだけではなく、様々な枠を超えて活動をすることで社会的課題を解決できる本物のファンドレイザーの育成を目的として創設されたもの。同協会が付与する「認定ファンドレイザー」資格認定制度とは別に、1年間、志ある仲間とともにみっちり時間をかけてファンドレイジングとは何かを理論と実践で学ぶ場です。

 

私が担当するマーケティングでは、実在する国際協力NGOのファンドレイジング事例をケースとして取り上げ、講師による一方通行のレクチャーではなく、受講生同士、そして講師と受講生とのインタラクションを中心とした講義を行ないました。

拙著『NPOのためのマーケティング講座』でも紹介している、NPOマーケティングの5C(Customer Value(価値)/Cost(負担)/Communication(コミュニケーション)/Convenience(利便性)/Comfort(快適さ))のフレームワークに則り、“マンスリーサポーターの拡大”をテーマとして事例の整理や受講生同士のディスカッションを行いました。そのうえで、具体的にどのようなことが実施できるかをグループの提言としてまとめ、発表・共有してもらいました。さらに、単なるアイデア出しにとどまらず、出されたアイデアを絞り込み、優先順位をつけ、現実的で実行力のある提言として練り上げるために、提言先NGOから更にどのような情報を引き出す必要があるのかを確認しました。

 

5Cを考える際に最も重要なのは、1つ目のCである、NPOが提供する“価値”が何かを見極めることです。つまり、人や組織がお金を出してまで得たいと思っているのは何かということです。一般的にNPOが提供する価値は、明文化されたビジョンミッションの中に込められています。ファンドレイザーは、自分の所属するNPOや支援をするNPOの掲げるビジョンやミッションが何かを理解していないと、そもそもファンドレイジングができないということです。人や組織が何に対してお金を出すかというと、そのNPOが実現しようとしている地域や社会の理想の姿(状況・状態)であることをいつも念頭において置かなければなりません。ファンドレイザーの仕事は夢を売る仕事というと分かりやすいかもしれませんね。

 

 

マーケティングはともするとノウハウやテクニックの話になりがちです。特に昨今ではインターネットが日々のコミュニケーションの中でも大きな役割を果たすようになっていることもあり、ファンドレイジングにおいてもそのノウハウやテクニックばかりが語られるようになっている気がします。まず考えるべきは、ファンドレイジングの手法や手段などの「やり方」ではなく、何のためにお金を集めるのかという目的やゴールです。逆にいうと、これらが明確に定まり、ステークホルダー(利害関係者)の間で共有されることで、自ずと手法や手段も決まってくるのです。

 

最近は、“地域づくり”の文脈でファシリテーターやコーディネーターの仕事をすることが増えたせいか、個別組織を対象にしたマーケティングやファンドレイジングで講師を行うのは久しぶりでした。毎年のことでもあるのですが、受講生の前に立った瞬間、その異様な熱気を浴び、自分自身に何かのスイッチが入ったように感じます。例年と比べてそもそも暑い一日ではありましたが、途中でクーラーを入れるという状況でしたww

ファンドレイジングは企業でいうところの営業に類する仕事ですが、企業の製品やサービスと違い、NPOの“売りモノ”はその価値や成果が目に見えづらく、自分ごと化しづらいのが特徴です。このため単なるプレゼンテーションのスキルやノウハウを超えたファンドレイザーとしてのメタスキル(あり方や姿勢など)を確立することが、相手の心を動かす源泉となります。ファンドレイザーとしての腕(スキルやテクニック)を磨くことに加え、自分自身の人間性を磨くことにもしっかりと取り組んでもらいたいものです。