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地域再生計画の策定に向けた「アトリエ」プロジェクト

2020年11月17日 事業レポート

山口県山口市の阿東地域では『第二次阿東地域再生計画』の策定に向け、2020年8月から隔週のペースで住民主体のワークショップを開催しています。

前回の第一次計画は2019年から始まっており(2022年3月終了)、同地域にある道の駅「長門峡」を交流の核としたにぎわい計画を策定し、現在、実行中です。今回の第二次はそれ以降の計画づくりを目的としたものですが、広く住民に計画づくりへの参加を呼びかけ、14名が参加しています。事務局は山口市役所と阿東地域づくり協議会が務めていますが、メンバーには地元のNPOスタッフ、企業経営者、自営農家、デザイナー(出産を間近!)、地元出身の市職員などの住民をはじめ、中間支援組織のスタッフ(ファシグラ担当)や自分(全体ファシリテーション担当)が外部から関わっています。事務局の市役所職員も一住民として議論に参加し、アイデアを出したり、共同で作業を行っています。

 

 

8回目のミーティングとなる11月13日には、阿東地域にあるリノベーションした空き家に集まり、各メンバーから事業案の発表をしてもらいました。発表内容のガイダンスは以下のとおりです。


①阿東の解決すべき課題及び目指す理想的な姿
現状、何が問題なのかを表す根拠となるデータを提示する。定性情報(住民のリアルな声など)でも定量情報(統計データなど)でもOK。お金を獲得するために、「確かにそれをやらないとマズいな!」と思わせる説得力のある情報であるほど良い。

②ターゲット
上記課題が解決されることで便益を享受するのは誰かを具体化する。「高齢者」「子ども」ではなく、「地福地域に住んでいる85歳の独居女性」くらいまであると良い。また、観光促進などのように、ターゲットは観光客と地域のお店など並列で複数に及ぶものや、子ども向け事業の付随効果として親にも効果が波及するものなど、メイン/サブという関係になるものもある。

③事業アイデア
課題解決に向けて実施する事業内容を記載する。その際、上記のターゲットである事業の受け手(受益者)としての地域住民とは別に、事業の推進や担い手としての住民(寄付者やボランティアなどの支援者/手伝い)についても盛り込む。

④事業の実施体制
現段階では思いつきや理想レベルで構わないので、誰がやるのか、誰と誰が組んでやるのかを記載する。「自分が!」というのは大歓迎。

※現段階では、事業のKPIや実施にかかる費用などは入れなくてOK。


今回は18時からのスタートでしたが、当初予定を2時間も(!)超過し、22時に終了。一人ひとりの想いがこもった発表であったため、不思議と空腹にも耐えることができ、集中力も途切れませんでした。その後の懇親会が充実したものであったことは言うまでもありません(3時間睡眠で翌日帰京😂)。

 

単発の派手な地域イベントも年に数回はカンフル剤として必要ですが、次の年が来るまで、地域住民がそれぞれ出番や役割を持ち、交わり、関わることもありません。さらに、その限られた出番や役割さえも、今や外部業者へ安易に委託されることが増え、誰のための何を目的としたものなのかさえ不明なイベントが増えています。結果として、「信頼」「お互い様」「つながり」から成る『ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)』が醸成されないばかりか、朽ち果ててしまっているのです。こうしたことからも、イベントや行事はその意味付けを根本から考え直さなければなりません。

地域づくりという言葉が良くないのかもしれませんが、何かをつくれば終わるというものではありません。地域は未来に向けて、かたちを変えながら常につくり続けるものであるため、こうやって継続的に地域の未来を考え、対話する機会が下地(ベース)として必要です。計画づくりというと堅苦しく聞こえますが、何より本気で、楽しく、笑いながら取り組めることが大事。大人の学びの機会(義務教育❗)であり、社交の場であり、知的なエンターテインメントでもあります。これらのポイントを外したらダメですね。

そして、こうした「地域」への関わりは、「家庭」「職業」「趣味/学び」における関わり(出番や役割)と同じように、人の一生において何かしら担うべきものの1つとして位置づけられ直す必要があるのです。

会の名称も、当初の「阿東地域の未来を考える会」から、メンバーのオーナーシップを高めるために「アトリエ(あとうのリボーンをえがく会)」に変更しました。来月12月には地元の中学校にて検討している事業プランのお披露目をし、未来を創る主体である子どもたちからもフィードバックを貰います。

ここから先の展開が楽しみですね〜❗