サーバントリーダーシップと心理的安全性
1月7日と24日の2日間にわたり、鳥取県社会福祉協議会主催で県下の市町村社会福祉協議会向けの管理職研修会を行いました。
この研修会の狙いは、事業計画の立案、評価に関するノウハウを学ぶとともに、組織を活性化させるリーダーを養成すること。第1回目の1月7日は、事業や組織が最終的に目指す変化・効果の実現に向けた道筋を体系的に図示化する「地域づくりの設計図」の策定方法を学んでいただきました。日々の業務に埋没していると、そもそも何のために、何を目指して事業を行っているのかという視点が疎かになりがちです。どこの社会福祉協議会でも厳しい財政状況にありますが、ともすると国や行政からの委託事業を淡々粛々とこなすだけになりがちです。自分たちが日々行っている事業は誰に向けたものなのかというターゲット(ペルソナ)設定と、そのターゲットの暮らしがどのようになったら良いのかという状態のイメージとともに、具体的な到達目標である成果を明確にすることで、後々、評価を行うことができます。
第2回目の1月24日は、一部の肩書きを持った人だけではなく、一人ひとりがリーダーであることの確認から始めました。その上で、従来の上位下達式の統治型や支配型のリーダーではなく、メンバーへの奉仕や支援を通じて、周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作り出す「サーバントリーダー」について学びを深めていただきました。VUCA(Volatility[変動性]、Uncertainty[不確実性]、Complexity[複雑性]、Ambiguity[曖昧性])の時代を迎え、地域や社会の課題も複雑化し、単独の組織や個人ではなく多様な主体による協働でなければ解決できない課題ばかりといっても過言ではありません。こうした中で、社会福祉協議会が地域のコーディネーターとして機能していくためにも、あらためてリーダーシップのあり方を見直していく必要があります。
<サーバントリーダーシップの10の属性>
①傾聴(Listening)
②共感(Empathy)
③癒し(Healing)
④気づき(Awareness)
⑤説得(Persuasion)
⑥概念化(Conceptualization)
⑦先見力、予見力(Foresight)
⑧執事役(Stewardship)
⑨人々の成長に関わる(Commitment to the Growth of people)
⑩コミュニティづくり(Building community)
サーバントリーダーシップは地域における多様な主体の協働でも必要なあり方ですが、管理職として、自分の組織やチームと向き合う上でも大切なものです。研修の最後では「心理的安全性」をテーマに管理職同士で対話をしてもらいました。心理的安全性とは、職場で誰に何を言っても、どのような指摘をしても、否定されたり罰せられる心配がない安全な状態を指します。安心して本音、本心、本気で話ができることで、優れた意見やアイデアが出され、意欲や責任感を持って実行され、最終的には事業のパフォーマンス(成果)も上がっていくのです。
2日間という限られた時間でしたが、参加された皆さんに何かしらの気づきや学び、そして実践が生まれることを期待しています!