ファンドレイジング・スクールの戦略発表会
1月25日(土)、26日(日)の週末2日間にわたり、ファンドレイジング・スクールで自団体の戦略立案の最終発表会でした。
5ヶ月にわたる格闘(!)を終え、約40名が渾身の想いをこめた発表を行いました。フィードバックする講師側も4名の体制で迎え撃ちましたが、久しぶりにハードな時間を過ごしました。2日目は終わってからサウナに直行です。
”スクール”というとインプット中心の学びのイメージがありますが、「実際にやってみた」「内部でしっかり議論した」「伴走先の団体と一緒に作った」という戦略プランが多く、アウトプットも程良く行われていたのが良かったですね。ファンドレイジング・スクールでは、ただの知識やスキル面での学びに終わらせず、学んだことを実践に落とし込んでいけるような戦略立案を大事にしています。頭の中だけで完璧なものを作るのではなく、やりながら、確かめながら作ることで、息吹の吹き込まれた、確実に実行される戦略へと変わっていきます。
当日は最後に全体へのまとめとして、以下のようなフィードバックをしました。
<全体フィードバック>
■ 誰に、何を伝え、どのような行動(反応)を得たいのかという視点を持ち、ターゲットを意識して戦略を作成したか?
■ 事業、組織、財源の3つにバランスよくまとめられている。特にお金を集めるための組織や人の関係性にもれなく意識が向けられている。
■ 戦略シナリオに有用でないフレームワークは入れる必要はなく、フレームワークの「守・破・離」する。
■ 数字を単独で使わず、必ず、対目標、対過去、対競合などと比較することで数字の意味を持たせる。
■ 自分たちが抱える「組織課題」と自分たちが取り組む「社会課題」を区別した上で、発表資料にはストーリー性を持たせながら組み立てる。
■ 寄付の基本的な考え方を理解する。
・寄付の公式 = 寄付者数 x 単価 = (既存 – 退会者 – 新規)x (単価 x 頻度 x 種類)
・寄付獲得の順番:既存→退会者→新規
・寄付者の評価づけ:LRFM(Length、Recency、Frequency、Monetary)
■ 目指す状態を質的・量的の両面で示すこと。定性的な表現に加え、それをより具体的に定量的に表すとどうなるのかもセットで伝えることで、団体の活動への理解が深まり、受益者や支援者の拡大につながる。
■ お金が必要だという割には、必要な金額ではなく、単なる獲得できそうな金額の積み上げになっている。本当に課題を解決するために必要な事業は何か、そしてそれにかかるお金はいくらかなのかから逆算する。
■ お金の獲得の前に支出を減らすこと、新規獲得の前に退会者を減らすことが先決。穴の空いたバケツに水を入れ続けるようなことにならないように。
■ファンドレイザーの狭義の役割は「資金」の獲得だが、人/モノ/金情/情報/場所などの醸成/流通/循環を含む「社会資源」の獲得まで広げて考えること。必要なものはお金だけではないこと、またお金の切れ目が縁の切れ目にならないことが大事。
そして、スクールの卒業要件である戦略立案はこれで一旦は終わりとなりますが、
計画/戦略づくり【20% 】
実行【80%】
ということで、前述のとおり、これからの実行フェーズが本番。策定した戦略を実行して、所与の成果を出すには先はかなり長いのです。
また、実際に動き出さなければ見えないものの方が多いものです。スクールで学んだフレームワークを活用して組織内外の環境変化をつぶさにウォッチしつつ、一度作った計画/戦略に囚われないことも心に留めておきたいところです。こうした計画/戦略は唯一無二の正解ではなく、作ったとおりに実行することに価値があるのではありません。VUCAと呼ばれる時代において、様々な環境の変化に気づいて迅速かつ柔軟に対応するために、”照らし合わせるもの”としての価値を持つということです。計画/戦略は絶対的なものでも、不要なものでもありません。
何はともあれ、皆さん、本当にお疲れ様でした!
第4コーナーを周り、卒業まであと少し。ゴールは目前だ!