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新著『公務員のためのマーケティング講座』の発売!

2025年05月24日 メディア情報

 

この度、2冊目となる、『公務員のためのマーケティング講座』を刊行しました。

前著『NPOのためのマーケティング講座』を書いたのが2014年なので、それから10年ちょっとが経ちます。5年近く前に、NPO本の出版を担当していただいた学芸出版社)岩崎さんから再度お声がけをいただき、二つ返事でお受けしたものの、ちょうどその頃からマーケティングをはじめとする事業面よりも、人のモチベーションや関係性など組織面に対する関心が急速に進み、コーチングやファシリテーションにのめり込んでいったため、マーケティングからは気持ちが遠退いていく状況にありました。その後も何度かご連絡をいただいたのですが、言い訳をしながらずっと逃げ回ってきました。不思議なもので、こうして逃げ回っている自分に段々と嫌気が差し始め、昨年、ようやく覚悟を決めて執筆に取り掛かりました。ストレスが続く日々が続き何度も挫けそうになりましたが、この日を迎えられて心底ホッとしております。事例の提供やヒアリング、ドラフトへのアドバイスなどでご協力いただいた自治体関係者の皆さま、リサーチ段階からモデルケースの作成までずっと近くでサポートしてくれた渡辺さん、学芸出版社)岩崎さん、本当にありがとうございました。

NPO本の装丁はやや堅めの印象がありましたが、それと比べると、公務員本がにゃんこのイラストもあり、 書店に並んでも目立ちそうです。 色もかなり明るめのライム色(ライト・グリーン?)なので、漫画を手に取るかのように、気軽に読んでいただけると嬉しいです。

内容は、タイトルどおり、公務員(中でも基礎自治体の職員)の皆さんが日々の仕事の中で実践すべきマーケティングについてです。VUCAといわれる時代で、さらに超少子高齢化が進む日本で、行政職員の人手も財源も減っていく中、歯を食いしばりながら地域を支え続ける公務員の皆さんのお役に立てたらという、エンパワー全開の想いで書きました。是非、お読みいただけると嬉しいです。

 

 

公務員のためのマーケティング講座長浜洋二著(学芸出版社:2025年)

まえがき

第1章 公務員にとってのマーケティングを理解する
1.公務員にもマーケティングが必要な理由
2.企業との違いにみる自治体の特徴と社会的役割
3.自治体マーケティングの4つの特徴
4.自治体が目指すのは住民のウェルビーイング
5.公務員にとってのマーケティングの定義
6.自治体マーケティングの5つの実践ステップ
<Tips>京都市:観光需要を抑制するディマーケティングの実践
<Tips>横瀬町:「ひと」を中心としたウェルビーイング指標の設定

第2章 自治体マーケティングの5つの実践ステップを学ぶ
ステップ❶ 目指すビジョンと成果の確認
1.「北極星」の役割を果たすビジョン
2.ビジョンの実現に向けた目的と手段の整合性を確認する
3.ビジョンの実現には住民の関わりが不可欠
【ポイント解説】政策体系の目的と手段の整合性を押さえる!
<Tips>町田市:多様な切り口の市民参加によるビジョンづくり

ステップ❷ ターゲットの設定
1.ターゲット=「全住民」では誰にも伝わらない
2.ターゲット設定における4つの特徴と留意点
3.ターゲットの絞り込みとペルソナの作成
【ポイント解説】ペルソナを作成してターゲットの解像度を上げる!
<Tips>和気町:移住サイトを活用したターゲットとの関係構築
<Tips>福山市:人口減少対策に向けた9つのペルソナ設定

ステップ❸ 5つの行動変容ステージの設計
1.行動変容を描いてゴールへの道筋を明確にする
2.基本となる5つの行動変容ステージ
3.行動変容ステージ設計の留意点
【ポイント解説】成果を生み出す主体になりきって行動変容を描く!
<事例>春日部市:シビックアクションの推進に向けたステージ設計

ステップ❹ マーケティングの5Cによる事業の立案
1.事業づくりの枠組みとなる「マーケティングの5C」
2.マーケティングの5Cで行動変容を後押しする
3.価値(Customer Value):機能・感情・社会的価値を提供する
4.コスト(Cost):行動を阻害する負担を軽減する
5. コミュニケーション(Communication):双方向を意識する
6. 利便性(Convenience):手段や方法、時間や場所を工夫する
7. 快適さ(Comfort):人・物的環境・プロセスに配慮する
【ポイント解説】相手の反応を見ながら、タイムリーに背中を押す!
<Tips>千葉市:呼び出し番号のプッシュ通知で時間コストを削減
<Tips>鴨川市:使いやすさを追求したHPのユニバーサルデザイン
<Tips>甲府市:ひきこもり相談におけるメタバースの活用
<Tips>葉山町:公式Instagramの活用を一歩進めた関係づくり
<Tips>宇都宮市:AIを活用した暮らしに関する質問の自動応答
<Tips>今治市:移動市役所の巡回で交通アクセスの不便を解消
<Tips>川崎市:出前講座で住民との顔の見える関係づくり

ステップ❺ 指標と目標値の設定
1.目標・現状・ギャップの考え方
2.自治体におけるマーケティングの目標と指標
3.目標値の設定により到達地点を明確にする
4.指標と目標値の設定における課題
5.SMARTゴールを活用した指標と目標値の設定
6.行動変容とマーケティングの5Cとの関係性
【ポイント解説】納得感のある指標と目標値がヤル気を高める!
<Tips>世田谷区:バックキャスティングで活動と成果の指標を設定

第3章 マーケティングに不可欠なコーディネーションを学ぶ
1.自治体マーケティングに求められる協働と連携
2.公務員は多様な主体をつなぐ「コーディネーター」
3.PDCAサイクルを活性化するコミュニケーションの実践
4.公務員に不可欠なファシリテーションスキル
5.実務に活かすファシリテーションの基本的な技法
6.ファシリテーターの「やり方」と「あり方」
【ポイント解説】相互理解の促進により協働や連携を実現する!
<Tips>高島市:寄付金付き商品を媒介とした官民連携の取り組み
<Tips>豊明市:ビジョンと課題の共有による協働のチームづくり
<Tips>生駒市:住民主体のまちづくりを促す戦略的ワークショップ
<Tips>豊田市:対話を可視化するグラフィック・レコーディング

【参考】自治体マーケティングの5つの実践ステップ作成例
1.地方創生における移住定住の促進【連携:空き家バンク】
2.経済活性化に向けた観光客の誘致【連携:民泊】
3.若者の就労支援と自立の促進【連携:引きこもり家族支援】
4.青少年育成と非認知能力の向上【連携:高齢者の生きがいづくり】
5.住民主体の景観まちづくり【連携:観光まちあるき】
6.協働による防災まちづくり【連携:親子向け防災啓発】

あとがき

 

 

特に第3部のコーディネーションやファシリテーションスキルについては、本書の構想を固める中で大きく取り上げることにしました。一般的なマーケティング書籍では、基本となる理論やテクニック、事例の紹介などが大半であるため、その事業に関わる人や組織という側面に触れられることはほとんどありません。しかしながら、公務員の皆さまが地域の多様な主体との協働や連携をコーディネートしていく役割が今後ますます求められていくため、マーケティングの理解にとどまらず、それをどのように日々の具体的な行動の中で実践していくのかについても触れる必要があると考えました。紙幅の都合上、基本的なポイントをお伝えするにとどまっていますが、できるところから少しずつ実践していただければ幸いです。

なお、本書の刊行にあたり、内容をA4用紙2枚程度におさめた【無料】の要約版レポートをご用意しました。まずは、概要をざっくり掴みたいという方や、本書の内容を関係者の人たちに簡単に伝えたいという方は、是非ご活用いただければ幸いです。このホームページ内の書籍紹介ページ(https://mojo.co.jp/works/)からダウンロードすることができます。

そして、公務員向けではありますが、社会課題の解決や価値の創造に取り組むという意味においては、内容はそのままNPOや市民活動、ソーシャルビジネスで活躍されている方々や議員の方にも役立つものです。ぜひ、行政との協働を想定しながら、担当部署の職員の皆さんと目線合わせや合意形成の一環としてご活用いただければと思います。

NPO本と同様、ベストセラーではなく、ロングセラーを目指します。必要としている方に、1人でも多く届いたら幸いです。お読みいただいた皆さまからのご感想もお聞かせいただけると嬉しいです。そして、何かご一緒できそうなこと、お手伝いできそうなことがあれば、是非お気軽にお声がけください!