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LCPを活用して自分のリーダーシップに向き合う

2022年09月01日 事業レポート

8月30日、鳥取県社会福祉協議会主催の市町村社会福祉協議会の管理職向けにリーダーシップに関する研修を行いました。

昨年度は、部下や周りのマネジメントを行う管理職という立場を前提に「サーバントリーダーシップ」についての研修を行ないました。メンバーへの奉仕や支援を通じて、周囲から信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作り出すというリーダーシップです。今年度はまた視点を変えて、「ザ・リーダーシップ・サークル・プロファイル™️」を活用して個人個人のリーダーシップを学んでもらいました。ザ・リーダーシップ・サークル・プロファイル™️とは、リーダーシップ開発に重要な要素を“クリエイティブ”と“リアクティブ”の2つの側面を組み合わせて分析した360度評価手法で、リーダーの何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか、そしてそれは何故なのかという全体像を一目瞭然に理解できるツールです。リーダーの行動のパターンと、その行動を生み出している内的な前提や思い込みの関係を明らかにすることができます。

 

 

研修への参加にあたって、ザ・リーダーシップ・サークル®が提供している無料自己評価版を実施し、その結果を当日持ち込んでいただきました。実際に本格的な評価分析を行う際には、10人以上を目安に他者による評価を受けることになります。

ザ・リーダーシップ・サークル・プロファイル™️は何を意図したもので、他のリーダーシップ開発ツールとは何が違うのか、実施することで何が分かり、何が得られるのかなどの説明から始めました。続いて、先んじて他者評価まで実施していただいた倉吉市社会福祉協議会の池田事務局長とトークセッション形式で実施した感想をお聞きしました。こうした自己分析の結果は他者にはあまり知られたくないものだと思いますが、県下で共に頑張る仲間の気づきや学び、成長のためということで生々しい体験談を聞かせていただきました。以下、池田事務局長のコメントです。

 

8月30日(火)、長浜さんが講師を務められた研修会で、リーダーシップに必要な行動やスキルについて学びました。

このたびの研修では、リーダーシップ・サークル・プロファイル (LCP)を活用して、自身のリーダーシップの傾向を確認しながら、その要因などの分析を行いました。研修参加者は簡易的な自己評価のみを体験的に行われましたが、私は実際にフルバージョンで自己評価と他者評価の両方を行い、結果を踏まえて感じたことや、私なりの変容など、生々しいトークをさせていただきました。

分析結果を見て、現在地における自身のリーダーシップを丸裸にされた感覚で、至らない部分を目の当たりにすることでのショックは大きなものでした。時間が経つにつれ、結果を受容し、今後はどのようにリーダーシップを育むか、自己探求や自己開発に向き合っていくことが必要になります。特に自分の行動を制限する内面的なスタンスや思い込みに気づき、リーダーシップに必要なエネルギーに変えていくことの大切を学びました。

倉吉市社協からは私を含め12名の職員が参加し、リーダーシップに対する意識の高さを感じました。このたびの学びを今後の業務に活かし、成果を上げることができる組織となるためのリーダーシップを磨くことが必要になります。

 

 

午後からは他者との対話をつうじて参加者自身の評価結果に向き合いながら、リーダーの効果性に貢献するクリエイティブ・コンピテンシーと自己制限的なリアクティブ傾向について理解を深めてもらいました。他者評価のない自己評価だけとはいえ、日々の仕事をつうじて薄々気づいていた自分のリアクティブな特性が可視化されることは、逃れられない事実を突きつけられたような気持ちになるもの。受けとめるだけでも相当な心的な負担があったのではないかと思います。

リアクティブな反応はストレスやプレッシャーの下でとりがちな振る舞いであり、リーダーシップの効果や拡張を制限するものです。幼少期から今に至るまでの長い人生の中で埋め込まれたものであり、「私は◯◯でなければならない。そうでなければ価値がない/安全ではない」という思い込みとして自分の中の奥深いどこかに潜んでいます。まずは、以下のような問いかけを行って可視化し、気づきを高める必要があります。自分が知らぬ間に過去から連れてきている思考や行動のパターンや習慣に気づくことで適切に対処できるようになっていきます。

・もしあなたがこういう傾向になっている時があるとしたら、どんな状況ですか?
・その時の自分の行動や挙動、出てくるつぶやきは?
・その時の感情は?
・それをすることで、あなたにとって役に立っているとしたらどんな風に?
・その行動のマイナス面は?(対:自分、チーム、組織、社会)

ご参加いただいた皆さんには、1ヶ月前に実施したロジックモデル研修と合わせ、思考、感情、体感覚、魂を総動員しながら、地域について、自分について学びを深めていただきました。今回のリーダーシップ研修では、

・自分の弱い部分に気がつき次にどう動くのか意識出来たことは大きい。
・自覚のあったリアクティブな部分について改めて意識し、また思いもよらぬ部分にも気がつけた。
・他者からの評価が入るとどうなるか知りたいと思った。
・対話を通じて(同じ職場の同僚や部下だったので)少し他者評価に近い話が出来た。限定的だが自己と他者の違いを認識することができた。

などの感想が寄せられました。2回にわたる管理職研修を踏まえ、ここから一人一人に何が起きるのか、どのような行動が現れてくるのか楽しみですね!

 


<参考>

【クリエイティブ・コンピテンシー】

リーダーにとって必要な振る舞いやスキルであり、効果的なリーダーシップやビジネス上の結果にも相関がある18の要素。内面にある思い込みが力を与えてくれるようなもので、生産的な選択をすることができると、クリエイティブ・コンピテンシーに繋がることが多い。

 他者との関わり 個人、グルー プ、組織の能力を最大限に引き出せる方法で他者との関わりを持つことのできる能力 ・思いやりのあるつながり
・チームプレイ推進
・協働
・メンタリングと育成
・対人知性
 自己認識 職業人として、また人間としての継続的な能力開発に対する姿勢、また、自己の内面で認識していることが、一貫性をもってリーダーシップに現れている度合い ・無私
・バランス
・落ち着き
・自ら学ぶ
 本質 リーダーが、本質的で勇気ある一貫性の高い在り方と行動で、他者に関わる能力 ・一貫性
・勇気ある本質
 全体認識 リーダーの意識がどの程度システム全体の向上、生産性、社会・世界への繁栄に向いているか ・社会・世界への配慮
・持続可能な生産性
・システム思考
 目標達成 明確なビジョンを持ち、本質的で達成率の高いリーダーシップを発揮する度合い ・戦略思考
・目的とビジョン
・結果を出す
・決断力

 

【リアクティブ傾向】

効果性や本質的なことを表現すること、また、自らのリーダーシップに力を与えることなどに対して制限的になりうる内的な前提や思い込みやそこからくる振る舞い。11の反応的傾向がある。強みが過剰に使われ過ぎていたり、また使われていない場合、自己を制限するような前提・思い込みに由来していることが多く、思考習慣ともなる。

 他者依存 自身の意図や欲求に基づいて行動せずに、他者からの期待に応えることによって、自尊心と安心感を得る度合い ・保守的
・他者の喜び優先
・帰属
・受け身
 自己防衛 身を引いて距離を置き隠れて打ち解けず、皮肉な態度や尊大な態度、または合理的な態度によって自己を防衛し、自尊心を満たす度合い ・傲慢
・批判
・心理的な隔たり
 操作 任務の完遂、個人的成功によって自尊心を確立する度合い ・完璧主義
・過度な意欲
・野心
・独裁