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JAPAN LIVE YELL projectと文化芸術の未来

2024年02月04日 事業レポート

 

ご縁をいただき、2023年5月から関わり始めた、日本芸能実演家団体協議会の伴走型支援による『JAPAN LIVE YELL project』。年が明けて2024年1月の29日&30日の2日間にわたって開催された、4年間の総括となる全国フォーラムにお邪魔しました。

このprojectは、コロナ禍からの文化芸術活動の再開を後押しすることを目的に実施されたもの。「収穫祭」と銘打った今回のフォーラムにも、これまでそれぞれの地域で文化芸術をずっと支えてこられた全国の公立文化施設、NPO、企業、フリーランス、アーチストなど、約70名もの様々な立場の方々が集まりました。

 

 

1日目は、昨年秋からファシリテーターとして関わってきた、地域連携モデルの推進に向けたプログラムの実施報告をさせていただきました。島根、岩手、大分という地域特性や関わる人や組織も違う地域で何を行い、何が起きたのか、そこから何を感じ、掴み取ったのか、そしてこれからどうしていくのかといったことをプログラムに参加された方とのトークも交えながら共有していきました。

そして2日目はガラッと趣向を変えて、地域の文化芸術活動に関わる人たちのエコシステム(生態系)の現在地を全員で確認するべく、ロールプレイを伴った体感型のワークを行いました。テーマは、「文化芸術分野も地域の様々な主体ともっと連携/協働して課題解決に貢献するべきだ」というもの。この問いに対して、どのようなステークホルダーが存在しており、どのような考えや想いを持っているのか、そこにはどんな関係性や問題の構造があるのかを明らかにしていきました。

 

 

日本全体の課題でもある少子高齢化により、文化芸術分野に関わる人も予算も減少傾向にあります。さらに、社会全体の価値観やトレンド、個々人の趣味嗜好や余暇の使い方なども大きく変わってきています。社会全体がこうした大きな変化を迎える中で、あらためて文化芸術分野特有の悩みや問題の構造を全員で体感的に捉え、一人一人がどのようにそれに向き合い、次なる一歩を踏み出すのかを探っていくという内容のワークです。

「一歩踏み出す」とはよく言われるフレーズですが、とても難しいことですね。いざ踏み出そうとすると足がすくみ、膝がガクガク震え、思ったように前に進めないものです。対処法としては大きくは3つあると思います。

①一歩一歩を積み重ねていった先に、どんな未来が待ち構えているのか解像度を高め、具体的に生々しく描いて前に進むエネルギーを呼び起こすというやり方

②今の不安で不快な、好ましくない状態を直視するとともに、その状態が続き、そこに自分たちが居続けると、この先どうなってしまうのかを徹底的に味わい切るという方法です。危機感を最大にまで高めるといっても良いですね。

③未来に向けた自分の行動を妨げている心理的な障害の正体は何なのか、その実態・実像を可視化・言語化し、きちんと認識した上で出来ることから着手していくという方法です。

これらを同時に進めていくということも可能でしょう。今回のワークはいきなり具体的な解決策やアイデアを考えるのではなく、その前提となる現状への深い理解を促すことが目的です。何となくは分かっていたけど、そこから目を背けていたり、知らんぷりをしていた自分や集団としての文化芸術分野全体の特性や”癖”のようなものにあらためて気づくことが大事。そこからしか何も始まらず、やったとしても表面的な対応策にしかなりません。

 

 

参加された方それぞれに、業界全体を覆う問題の本質は何か、そして今後どのように解決していけるのか、その中で自分はどのように関わっていくのかといったことに、少しでも意識と行動が向かっていけば良いなぁと思っています。自分からの最後のエール(YELL)は、「ぶっ壊せ!」です!